いま「オールオン4」が注目されています。総入れ歯に長年悩んできた方が、オールオン4にするケースも増えています。
オールオン4が注目されるのは当然でしょう。
総入れ歯の「食べにくい」「しゃべりにくい」「外れやすい」といったトラブルから解放され、インプラント並みの噛み心地を実現し、そして治療費はインプラントの半額程度なのですから。
しかし注目されている割に、「オールオン4の治療の流れがよくわからない」という方が意外に多くいらっしゃいます。
そこでオールオン4の治療に着手するところから治療完了までを、詳しくやさしく紹介していきます。
そもそもオールオン4とは
4本のインプラント(人工歯根)を顎の骨に埋め、それを土台にして「12本が連なった人工歯(オールオン4)」を結合させます。
通常のインプラントですと、12本の人工歯を入れるには12本のインプラントが必要です。その分、治療費がかさみ500万円を超えることも珍しくありません。
しかしオールオン4は4本のインプラントを埋め込むだけなので、治療費は200万円ほどで済みます。
ただオールオン4も一般的なインプラントも治療費は歯科クリニックによって大きく異なるので、事前に確認することをおすすめします。
手術する前までの流れ
オールオン4の治療では、手術前の準備が必要になります。いきなり治療には着手しません。
まずはどの歯医者もしっかりとカウンセリングするはずです。歯医者は患者さんから直接、歯の悩みを聴き、オールオン4がその悩みを解決できるかどうか検討します。
またこのとき治療費や治療上の注意について説明します。
患者さんがオールオン4の治療を受けることを決めたら、検査を行います。通常のX線撮影に加えてCTを撮ることが一般的です。
また口のなかの型を取ったり、噛み合わせを確認したりします。
ここまで進んだ段階で、手術日を決めます。
手術の流れ
まず歯肉を切開し、顎の骨を露わにします。電動やすりで顎の骨の上面を平らにした後で、小さなドリルを使って顎の骨に4本の穴をあけていきます。この穴に人工歯根(インプラント)を埋め込んでいくわけです。
人工歯根を埋め込んだら、その上端に「支台」という金具を装着します。この支台は人工歯根と「12本の連なった人工歯(オールオン4)」を結合させるためのものです。
この後、切開した歯肉を縫うのですが、そのとき支台は歯肉の上に出るようにしておきます。
歯肉を縫い終えたら、仮歯を装着します。仮歯を装着するので、手術日の夕食から普通の食事ができるようになります。
これでいったん治療は終わります。
患者さんは手術の2~3日後に来院し、歯肉を縫った糸の抜歯をします。この日はこれで終わります。
これで「手術は」終了しますが、「治療は」まだ終わりません。顎の骨に埋め込んだ人工歯と骨が完全に結合するまで待つためです。
結合するまで6カ月ほど待ちます。
途中で何回か通院してもらい、埋めたインプラントや仮歯の様子を確認します。
6カ月ほど経過して人工歯根が顎の骨と結合したら、仮歯を外し、実際に使用するオールオン4(12本の連なった人工歯)を装着します。
これで治療は終了です。
治療後
オールオン4も4本のインプラントを入れているので、インプラント周囲炎という病気を発症する恐れがあるからです。この病気は最悪、インプラントが埋まっている顎の骨を溶かし、インプラントを脱落させます。つまりオールオン4が外れてしまうのです。
そうならないようにするには、治療後のセルフケアと定期的な通院がとても重要になってきます。
セルフケア
オールオン4は「12本の連なった人工歯」が4本のインプラントを介して顎の骨に密着しているので、その密着部分に食べかすが溜まることがあります。
それは通常の歯ブラシでは除去できないので、洗口剤やジェット水流などを使うことになります。
定期的な通院
この定期的な通院は、インプラント周囲炎の早期発見も兼ねています。
インプラント周囲炎への用心
しかし歯周病には出血という初期症状があるのですが、初期のインプラント周囲炎には出血どころか痛みもかゆみもありません。まったくの無症状のまま病気が進行していくのです。
まとめ~歯をしっかり管理できるようになる
またオールオン4を入れた後の定期的な通院は、通常の定期検診と考えると、むしろ口腔内の健康を保つよい機会と考えることができます。
つまりオールオン4を入れると、これまで以上に歯をしっかり管理できるようになるわけです。